はじめに
投資の世界には、自分で銘柄を選び、売買のタイミングや資金配分まで細かく判断する投資家がいる一方で、ロボアドバイザーのようなおまかせ運用の商品や投資信託などを利用して、なるべく判断コストを減らしたい投資家もいます。
どちらが正しいという話ではありません。
むしろ興味深いのは、なぜ人によってここまで投資スタイルの好みが分かれるのか、という点です。
私はどちらかといえば、自分で企業を調べ、銘柄を選び、買うタイミングや保有方針を考えることが好きなタイプです。
一方で、世の中には、
「投資判断はできるだけ自動化したい」
「自分で判断して失敗するくらいなら、プロや仕組みに任せたい」
と考える人もいます。
この違いは、単なる投資知識の差ではなく、物事をどう楽しむか、どこにストレスを感じるかという性格の違いから生まれているのではないかと思います。
今回は、この違いを私の好きな戦略ゲームに例えて考えてみたいと思います。
戦略ゲームのオートバトルに例えると分かりやすい
今回例として考えるのは、パーティー編成型の戦略ゲームです。
例えば、次のようなゲームを想像してみてください。
まず、手持ちのキャラクターの中から5人を選び、パーティーを編成します。
バトルが始まると、敵の種類や配置を見ながら、味方キャラクターの位置を調整し、攻撃を行います。
さらに、それぞれのキャラクターが持つスキルを適切なタイミングで発動します。
攻撃スキルだけでなく、味方を強化するバフ、敵を弱体化させるデバフ、回復スキルなど、さまざまな能力を状況に応じて使い分けます。
こうした判断を繰り返しながら、最終的に敵を倒すことが目的です。
このゲームに「オートバトル機能」が搭載されているとしましょう。
プレイヤーがキャラクターを編成した後は、移動も攻撃もスキルの使用もすべてAIが自動で行ってくれます。
非常に便利です。
そして、この構造は投資にもかなり似ています。
投資商品や銘柄は、ゲームでいうキャラクター。
それぞれの商品が持つリスクやリターン、成長性や配当などの特徴は、キャラクター性能。
ポートフォリオを組むことは、パーティー編成。
そして、買い増し、売却、リバランス、資金配分といった日々の判断は、バトル中の操作に相当します。
こう考えると、ロボアドバイザーや自動運用型の商品は、ある意味で投資におけるオートバトル機能と考えることができます。
オートバトル(おまかせ運用)が向いている人
では、オートバトルのようなおまかせ運用は、どのような人に向いているのでしょうか。
まず考えられるのは、自分の判断で失敗することに強いストレスを感じる人です。
自分で銘柄を選んで損失を出すと、
「あのとき買わなければよかった」
「別の商品を選んでおけばよかった」
と後悔してしまうことがあります。
そのような心理的負担をなるべく減らしたい人にとって、一定のルールに基づいて自動的に運用される仕組みは大きな安心感につながります。
また、投資に時間をかけたくない人にも向いています。
企業の決算資料を読んだり、為替や経済ニュースを追ったりするには、それなりの時間が必要です。
本業や家庭、趣味などを優先し、投資はなるべく手間をかけずに続けたいという人にとって、自動運用は非常に合理的な選択です。
さらに、再現性や安定性を重視する人にも向いているでしょう。
人間の判断には感情が入ります。
相場が急落したときに恐怖で売ってしまったり、逆に値上がりしている商品へ勢いで飛びついてしまったりすることもあります。
そうした判断を排除し、あらかじめ決められたルールを守るという意味では、オート運用には大きなメリットがあります。
オートバトル(おまかせ運用)が向いていない人
一方で、おまかせ運用がどうしても合わない人もいます。
私はこちら側です。
例えば、自分で考える過程そのものが好きな人。
投資対象について調べ、
「この会社は今後どうなるだろう」
「この価格なら買ってもよいだろうか」
「いま資金を投入するべきか、それとも待つべきか」
と考えること自体に楽しさを感じるタイプです。
このような人にとっては、判断をすべて自動化してしまうと、投資の面白い部分まで失われてしまいます。
戦略ゲームを遊びたいのに、
「キャラクター編成だけしてください。あとは全部こちらで操作します」
と言われているような感覚です。
もちろん勝てれば嬉しい。
しかし、
「いや、その位置取りとかスキル回しを自分でやりたかったんだけど」
という気持ちになります。
また、自分の判断力を鍛えたい人にも、完全な自動運用は物足りないかもしれません。
投資判断を繰り返すことで、
「この判断は正しかった」
「ここは読み違えた」
「次はこうしよう」
という経験が蓄積されます。
結果だけを見るのではなく、なぜその結果になったのかを考えることに価値を感じる人にとっては、裁量の余地がある投資の方が向いています。
私にとって投資は「資産運用」より「戦略ゲーム」に近い
自分の投資スタイルについて考えているうちに、私は投資を単なる資産運用として見ているわけではないことに気づきました。
感覚としては、むしろ戦略ゲームに近いのです。
もちろん、お金を増やすことは重要です。
しかし、それだけが目的なら、私自身が細かく企業を調べたり、IR資料を読んだり、投資タイミングを考えたりする必要はありません。
それでも私は、その過程をやりたくなります。
なぜなら、
「限られた資金をどこに配置するか」
「どのリスクを取るか」
「どの銘柄を残すか」
「どのタイミングで追加するか」
といった判断を繰り返しながら、自分なりの勝ち筋を作ることが楽しいからです。
ゲームでも、強いキャラクターだけを無条件に並べればよいとは思いません。
それぞれの能力を理解し、
「このキャラクターはこの場面で活きる」
「この組み合わせなら弱点を補える」
と考えるところに面白さがあります。
私が投資でも個別銘柄の選定や裁量運用を好むのは、こうした性格がそのまま反映されているのだと思います。
つまり私は、投資で利益を得たいだけではなく、自分の判断によって盤面を動かしたいのです。
まとめ|最適な投資手法は性格によって違う
投資について語ると、
「インデックス投資が最も合理的だ」
「個別株の方が大きな利益を狙える」
「プロに任せるべきだ」
など、さまざまな意見があります。
しかし私は、投資手法には人それぞれ向き不向きがあると考えています。
戦略ゲームで、バトル開始から勝利まで自分で操作することにやりがいを感じる人もいます。
反対に、パーティー編成だけ自分で決めて、バトルはフルオートに任せた方が快適に遊べる人もいます。
どちらが優れているという話ではありません。
投資でも同じです。
自分で判断することで運用成績を改善できる人もいれば、余計な判断を挟まず、決められたルールに任せた方が良い結果を出せる人もいるでしょう。
重要なのは、自分がどちらのタイプなのかを知ることです。
とはいえ、自分の性格や投資適性を最初から正確に理解するのは簡単ではありません。
その意味では、投資を始めたばかりの段階では、まず広く知られている基本的な方法を学び、無理のない範囲で実践してみるのが安全だと思います。
ゲームでも、最初から特殊なキャラクターだけを使って独自戦術を編み出す必要はありません。
まずは扱いやすいキャラクターで基本的な戦い方を覚える。
そのうえで、
「自分はもっとこう戦いたい」
と思うようになったら、自分なりの戦術を考えていけばいい。
投資も、それくらいの距離感で考えてよいのではないでしょうか。
オートバトルが好きなら、オートでいい。
自分で操作するのが好きなら、自分で考えればいい。
最終的に重要なのは、誰かの正解をそのまま使うことではなく、自分が長く続けられる投資方法を見つけることなのだと思います。
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