投資信託とは何か?仕組みとリスクリターンについて初心者向けに整理

はじめに:投資初心者が必ず勧められる投資信託

投資を始めようとすると、かなり高い確率で「まずは投資信託から始めるとよい」と言われます。
特に新NISAの普及以降、全世界株式やS&P500に連動するインデックス型の投資信託は、初心者向けの代表的な選択肢として扱われることが増えました。

たしかに投資信託は、少額から分散投資を始めやすく、個別企業を一社ずつ分析する必要も比較的少ない金融商品です。
しかし、初心者向けとされているからといって、何も知らずに買ってよい商品という意味ではありません。

投資信託にも価格変動リスクはあります。元本保証ではなく、投資対象によっては大きく値下がりすることもあります。金融商品のリスクとは、単に「危険」という意味ではなく、リターンがどれだけ不確実か、つまり値動きの振れ幅を指す考え方です。
出典:日本証券業協会「リスクとリターン|投資の時間

この記事では、投資信託とは何か、その歴史、基本的な仕組み、そして個別株と比べたときのリスクとリターンについて整理します。

※本記事は、投資に関する知識整理や筆者個人の考察を目的としたものです。特定の銘柄や金融商品の売買をすすめるものではありません。
投資には価格変動などのリスクがあるため、最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。

投資信託の歴史

投資信託の考え方は、もともと「個人でも分散投資に参加できるようにする仕組み」として発展してきました。

世界最初期の投資信託として知られるものは、1868年にイギリスで設立された投資信託です。
当時のイギリスでは、海外の政府証券などへの投資が行われていましたが、十分な資金や専門知識を持たない個人にとって、海外投資は簡単なものではありませんでした。そこで、多くの投資家から資金を集め、専門家がまとめて運用する仕組みが生まれました。
出典:みずほ信託銀行「1.投資信託とは?

つまり、投資信託は最初から「お金持ちだけができる投資を、より多くの人にも開くための仕組み」としての性格を持っていたといえます。

日本でも、投資信託制度は戦後に整備されていきました。
現在の投資信託制度の基礎となる法律は、1951年に制定された「投資信託及び投資法人に関する法律」にさかのぼります。この法律は、投資者から集めた資金を有価証券等に投資し、その成果を投資者に分配する制度を定めるものです。

このように見ると、投資信託は単なる「初心者向け商品」ではなく、個人投資家が市場に参加するための制度的な器として発展してきた金融商品だと分かります。

投資信託の仕組み

投資信託は、多くの投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、株式や債券、不動産投資信託、その他の金融商品に投資する仕組みです。

ただし、投資家のお金を一社がすべて管理しているわけではありません。
主な関係者は、次のように分かれています。

関係者 役割
投資家 投資信託を購入する人
販売会社 証券会社や銀行など、投資信託を販売する窓口
運用会社 どの資産に投資するかを判断し、運用方針を決める会社
信託銀行等 投資家から集めた資産を保管・管理する機関

信託協会の説明でも、投資家は販売会社を通じて申込金を支払い、運用会社が信託銀行等に運用を指図し、信託銀行等がその指図に従って株式や債券などを売買・管理する流れが示されています。
出典:信託協会「投資信託

この分業構造があるため、投資信託では、運用する会社と資産を保管する会社が分かれています。
投資家から見ると「投資信託を買う」という一つの行為に見えますが、実際には、販売・運用・資産管理がそれぞれ別の役割として存在しているのです。

また、投資信託には手数料がかかります。代表的なものには、購入時手数料、保有中にかかる運用管理費用、いわゆる信託報酬、換金時にかかる場合がある信託財産留保額などがあります。手数料の有無や料率は商品によって異なるため、購入前に目論見書などで確認する必要があります。
出典:信託協会「投資信託

ここは初心者が見落としやすい点です。
投資信託は便利な商品ですが、無料で運用してもらえるわけではありません。長期保有する場合、信託報酬の差は少しずつ運用成績に影響します。

投資信託のリスクとリターン

投資信託の大きな特徴は、分散投資をしやすいことです。

個別株の場合、一つの会社に投資すると、その会社の業績悪化や不祥事、業界環境の悪化によって大きな影響を受けます。

一方、投資信託では、多くの投資家から集めた資金を複数の株式や債券などに分散して投資します。そのため、個人が少額で多数の銘柄に分散投資することが可能になります。
信託協会も、投資信託は多くの個人投資家等から集めた小口のお金をまとめ、複数の株式や債券などに分散投資することでリスクを軽減できると説明しています。

ただし、分散されているから安全というわけではありません。

投資信託にも元本保証はありません。株式市場全体が下落すれば、株式型の投資信託も下がります。海外資産に投資する投資信託であれば、為替変動の影響も受けます。
信託協会も、投資信託には元本保証がなく、投資先の価格下落や為替変動によって損失が出る可能性があると説明しています。

個別株と比べると、投資信託は一社固有のリスクを抑えやすい一方で、市場全体の下落リスクは避けられません。
たとえば、全世界株式型の投資信託を買っていれば、世界中に分散しているとはいえ、世界的な株安の局面では基準価額が下がります。S&P500型の投資信託であれば、米国株式市場の影響を大きく受けます。

つまり、投資信託のリスクは「個別企業のリスク」よりも、「市場全体・資産クラス全体のリスク」に近いものになります。

個別株と投資信託を比較すると、次のように整理できます。

項目 投資信託 個別株
分散性 高い商品が多い 自分で分散する必要がある
分析の負担 比較的小さい 企業分析が必要
手数料 信託報酬などがかかる 売買手数料が中心
値動き 市場全体に連動しやすい 企業ごとの差が大きい
爆発力 比較的抑えめ 大きく上がる可能性もある
失敗時のダメージ 分散により限定されやすい 集中投資では大きくなりやすい

投資信託は、リスクをなくす商品ではありません。
リスクを分散し、個人でも市場全体に参加しやすくするための商品です。
この違いを理解しておくことが重要です。

出典:信託協会「投資信託

まとめ:投資信託の特徴を知ることの重要性

投資信託は、初心者にとって非常に使いやすい金融商品です。
少額から始めやすく、複数の資産に分散投資しやすく、個別企業を一社ずつ分析する負担も小さくなります。

しかし、投資信託は決して「何も考えなくてよい商品」ではありません。

どの資産に投資しているのか。
どの国や地域に偏っているのか。
信託報酬はいくらか。
為替リスクはあるのか。
自分のリスク許容度に合っているのか。

これらを理解しないまま買ってしまうと、相場が下落したときに不安になり、途中で売却してしまう可能性があります。

投資信託を使うかどうかは、人によって判断が分かれてよいと思います。
投資信託を主軸にする人もいれば、個別株を中心にする人もいます。あるいは、投資信託と個別株を組み合わせる方法もあります。

大切なのは、「初心者向けだから買う」のではなく、「仕組みを理解したうえで、自分の投資方針に合うかどうかを判断する」ことです。

投資信託は、投資の正解そのものではありません。
しかし、個人が市場に参加するための代表的な道具であることには間違いありません。
だからこそ、買うか買わないかを決める前に、まずはその仕組みを知ることが大切なのです。

投資では、知っている選択肢が多いほど、自分に合った判断をしやすくなります。
投資信託を使う場合も、使わない場合も、その特徴を理解しておくことは、今後の投資活動にきっと役立つはずです。


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