相場を見ていても、大きな値動きがない。
こういう日は、投資家にとって少し厄介です。
上がるわけでもない。下がるわけでもない。
判断材料も乏しく、市場の方向感も見えにくい。
それなのに、画面を見ていると「何かしなければいけないのではないか」という気持ちだけがじわじわ湧いてきます。
ですが、投資においては、常に動くことが正解とは限りません。
むしろ、動かないことが最善手になる日もあります。
取引をしない日は、何もしない日ではありません。
無理に売買を重ねず、次の一手に備えるための大事な時間でもあります。
今回は、私が「今日は取引をしない」と決めた日に意識していることを、三つに絞って整理してみます。
保有銘柄の前提を確認する
相場が静かな日は、値動きを追い回すより、保有している銘柄の前提条件を見直すのに向いています。
なぜこの銘柄を持っているのか。
どこに魅力を感じて買ったのか。
その前提は今も崩れていないのか。
株価を見ていると、わずかな上げ下げに気持ちが引っ張られます。
少し上がれば楽観し、少し下がれば不安になる。
ですが、それは投資の本質ではありません。
本当に大事なのは、保有銘柄について、業績の方向性が変わっていないか、事業の強みが損なわれていないか、そして自分が買った理由が今も生きているかどうかです。
大きく動かない日だからこそ、データを冷静に見直すことができます。
何も起きていない日に原理原則に立ち返ることで、いざ相場が荒れたときにも慌てにくくなります。
次の買い条件・売り条件を事前に考えておく
相場が落ち着いている日は、次の一手を平常心で考えられる貴重な時間でもあります。
株価がどこまで下がったら、どの銘柄を買い増したいのか。
何が崩れたら購入を見送ったり、手持ちの銘柄を売ったりするのか。
こうしたことを、相場が大きく動いている最中に考えるのは意外と難しいものです。
急落している場面では恐怖が勝ちやすく、急騰している場面では焦りが勝ちやすい。
その状態で判断すると、どうしても感情に引っ張られます。
だからこそ、相場が大きく動いていない日に、予め考えておくことが大事なのだと思います。
静かな日にシナリオを整理しておけば、実際に買い場や売り場が来たときにも、場当たり的ではなく自分の基準で動くことができます。
取引をしていない日も、次の取引の質を上げる準備はできます。
何もしない勇気を持つ
投資をしていると、売買していない日は「何もしていない」と感じることがあります。
ですが実際には、何もしないこと自体が立派な判断です。
分析の材料が薄い日。
方向性が見えない日。
自分の中で確信が持てない日。
そういう日にまで強引に取引に手を出すと、不要な取引が増えやすくなります。
そうした無理な売買は、往々にして資産を削る原因になります。
「今日は見送る」
この判断は、一見すると消極的に見えるかもしれません。
ですが、投資で大事なのは、毎日参加することではなく、勝てる場面でしっかり参加することです。
何も起きていない日に無理をしない。
判断できない日には判断しないまま終える。
それは逃げではなく、自分の資金を守るための選択です。
相場に参加していると、動くことが前向きで、動かないことが無駄に思えることがあります。
ですが実際には、取引をしない日にもできることはあります。
銘柄の保有前提を確認すること。
次の買い・売りを考えておくこと。
そして、無理に動かないと決めること。
こうした積み重ねもまた、投資の一部です。
毎日売買することだけが、投資家の仕事ではありません。
ここで、私が投資を続けるうえで印象に残っている言葉を引用します。
それはドラゴンボールの孫悟空のセリフです。
「だが これいじょう カラダを ムリに鍛えても ただ つらいだけだ
そんなのは修行じゃねえ…」
「3日休んで 3日特訓 そんでもってまた3日休む… そして武道大会だ」
無理は続かない。休むことも修行の一部だと、悟空は語っているのだと思います。
これは投資にも通じる、真をついた言葉だと思います。
常に気を張っていては、肝心なときに疲労による判断ミスが出てしまいます。
人間も生き物ですから、休息はとても重要です。
然るべき勝負時が来るまで静かに待つこと。
それもまた、相場を続けるうえで大切な技術なのだと思います。
「いまは動かない」という選択も、立派な戦略のひとつです。


コメント