FXと聞くと、どのような投資を思い浮かべるでしょうか。
「高いレバレッジをかけて、短期間の為替変動から大きな利益を狙う」
「一瞬の判断で大金を稼ぐこともあれば、一気に資金を失うこともある」
日本では、こうしたハイリスク・ハイリターンな投資というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
実際、2007~2008年頃にはFX取引の高レバレッジ化が問題となり、顧客保護や過当投機防止などの観点から証拠金規制が導入されました。
(出典:金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」)
私自身も、これまでFXに対しては短期売買を繰り返す投資という印象を強く持っていました。
しかし今回、FXについて改めて調べている中で「スワップポイント」という仕組みを知りました。
近年では、FX会社自身がレバレッジ1~3倍程度の積立型FXや、スワップポイントの再投資を利用した中長期の資産形成方法を紹介しています。
SBI FXトレードの「つみたて外貨」でも、1~3倍のレバレッジを選択でき、スワップポイントを再投資する運用例が紹介されています。
(出典:SBI FXトレード「つみたて外貨」)
つまり、FXを中長期投資に利用するという発想そのものは、決して新しい金融原理ではありません。
ただ、普段から中長期投資を中心に資産運用をしている私は、この仕組みを知ったとき、
「これ、自分の投資スタイルとかなり相性がいいのでは?」
と感じました。
そこで今回、まずは1000円という少額から、私なりに考えた「ドル円スワップ長期投資」の実験を始めてみることにしました。
この記事では、FXやスワップポイントについて簡単に説明したうえで、今回考えた運用方法について紹介していきます。
なお、これは現時点で利益が実証された投資手法ではありません。
あくまで私自身が立てた投資仮説を、これから実際の運用を通して検証していく実験です。
FXとは?
FXとは「Foreign Exchange」の略称で、日本語では外国為替証拠金取引と呼ばれます。
異なる2つの通貨を対象として取引し、為替レートの変動などによって損益が発生する金融商品です。金融庁も、FXでは外国為替相場が想定と逆方向に変動した場合に損失が生じる可能性があると説明しています。
(出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)
例えばドル円であれば、米ドルと日本円の交換レートである「1ドル=○○円」が上下することによって損益が発生します。
1ドル=150円のときにドルを買い、155円まで円安になったところで売却すれば、その差額が為替差益となります。
反対に140円まで円高になれば、買いポジションには為替差損が発生します。
そしてFXの大きな特徴の一つが、レバレッジを利用できることです。
レバレッジとは、証拠金を差し入れることで自己資金を上回る金額の取引を行える仕組みです。個人の店頭FXでは、取引金額の4%以上の証拠金が必要とされており、制度上の上限は25倍となっています。
(出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)
このレバレッジをどのように扱うかが、今回の運用方法でも非常に重要になります。
FX=ハイリスク・ハイリターンとは限らない
日本ではFXについて、
「高レバレッジで一攫千金を狙うもの」
「短期間に資金を何倍にもする投資」
「下手をすれば一瞬で大損するもの」
といったイメージが非常に強いように感じます。
確かに、高いレバレッジで大きなポジションを持てば、少額の自己資金に対して為替変動の影響が大きくなります。
金融庁も、FXでは相場が急激に変動した場合には、証拠金の額を上回る損失が発生することがあると注意喚起しています。
(出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)
一方で、レバレッジの水準そのものは運用者が調整できます。
実際、SBI FXトレードの積立型FXではレバレッジ1倍~3倍が設定されており、同社はレバレッジ1倍について外貨預金と同程度の為替リスクと説明しています。
(出典:SBI FXトレード「選べるレバレッジ」)
つまり、FXという商品そのものが常に高レバレッジなのではなく、どれだけのポジションをどれだけの証拠金で保有するかによってリスク水準は大きく変わるのです。
スワップポイントとは?
ここで重要になるのが「スワップポイント」です。
スワップポイントとは、FXで異なる2通貨を保有することによって発生する、金利差などを反映した受払いのことです。
金融庁は、FXでは取引対象となる2通貨の金利差調整額としてスワップポイントの受払いが日々発生すると説明しています。
(出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)
例えばドル円では、現在は日本円より米ドルの金利が高い環境にあります。
そのため、ドル円の買いポジションを翌営業日へ持ち越すことで、FX会社が設定したスワップポイントを受け取れる場合があります。
私が今回保有している100通貨のドル円では、開始時点で1日あたり約3円のスワップポイントが付与されています。
3円と聞くと非常に小さな金額ですが、
3円×365日=1095円
です。
もちろん、この3円が1年間固定されるわけではありません。
スワップポイントは各国の金利政策や市場環境、FX会社の設定などによって変化し、条件によっては減少したり、受取りではなく支払いになったりする可能性もあります。
SBI FXトレードも、市場や金利情勢によってスワップポイントは変動し、プラスからマイナスへ転じる場合があると説明しています。
(出典:SBI FXトレード「つみたて外貨と外貨預金は何が違うの?」)
それでも、売買によって価格差を取るのではなく、ポジションを長期間保有することで収益を積み上げる仕組みが存在するという点に、私は大きな面白さを感じました。
うずき流ドル円スワップ長期投資とは?
そこで今回、既存のスワップ運用を参考にしつつ、自分の中長期投資の考え方を組み合わせた運用ルールを考えてみました。
目的は、
「為替を短期的に当てるのではなく、リスクを抑えながら資本効率を高め、長期間スワップを積み上げること」
です。
ポイント1:米ドル円の買い建玉を保有する
今回利用する通貨ペアは、米ドル円に限定します。
スワップポイントだけを考えるのであれば、トルコリラ円やメキシコペソ円など、より大きなスワップを期待できる通貨ペアもあります。
しかし、今回私が重視しているのはスワップの最大化ではありません。
長期間ポジションを維持できることを優先します。
為替相場は政策金利、景気動向、経済指標、金融政策、政治情勢などさまざまな要因によって変動します。金融庁もこれらを為替変動要因として挙げています。
(出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)
そのリスクを鑑みると、他の通貨ペアと比べて、ドル円は世界的にも取引量が大きく、日本に住んでいれば日米の金融政策、金利、為替について非常に多くの情報を入手できるところにその優位性があります。
将来の為替を正確に予測できるわけではありませんが、自分で情報を集めながらリスクを判断しやすいことは、中長期運用では大きなメリットだと考えています。
そのため今回は、高スワップ通貨を追うのではなく、あえてドル円を選択しました。
ポイント2:短期売買や為替差益の利確は原則行わない
今回の目的は、為替差益によって利益を得ることではありません。
あくまでスワップポイントを中長期で積み上げ、その運用がどの程度成立するのかを検証します。
そのため、多少円安になって為替差益が発生したとしても、
「利益が出たから売ろう」
という判断は原則行いません。
短期的な利確を繰り返してしまえば、最終的には普通のFX短期売買と変わらなくなってしまいます。
また、スワップ運用そのものの成果を検証するという意味でも、為替差益による利益が大きくなるほど分析上のノイズになります。
そこで、短期売買や為替差益の利確は極力行わない方針とします。
ポイント3:レバレッジは利益増幅ではなく資本効率のために使う
FX最大の特徴ともいえるレバレッジですが、今回の運用では高レバレッジによる短期利益は狙いません。
むしろ逆です。
長期間ポジションを維持するため、最終的には実効レバレッジ2~3倍程度を一つの目安として運用する予定です。
なお、これは極端な設定ではなく、SBI FXトレードでも中長期向け積立サービスについて1~3倍のレバレッジを設定できる仕組みを提供しています。
(出典:SBI FXトレード「つみたて外貨」)
現物の外貨を1万円分保有するには、基本的には1万円の資金が必要です。
しかしFXでは証拠金取引の仕組みを利用することで、より少ない自己資金で同程度の外貨エクスポージャーを持つことができます。
この仕組みを「大きく賭けるため」ではなく、
現物外貨よりも一定程度高い資本効率を確保するため
に利用します。
もちろん、「2~3倍なら安全」という意味ではありません。
為替が大きく逆行すれば低レバレッジでも損失は発生しますし、評価損がFX会社の定めた水準に達すればロスカットが行われます。金融庁も、急激な相場変動ではロスカットが行われても証拠金以上の損失が発生する場合があると注意喚起しています。
(出典:金融先物取引業協会「ロスカット・ルールの整備・遵守の義務付け」)
そのため、現在は1000円という少額から実験を始めていますが、まずは一定程度の安全を確保するため、建玉をむやみに増やさず、証拠金を5000円程度まで厚くすることを当面の目標としています。
ポイント4:為替差益は「利益」ではなく「為替変動バッファ」と考える
今回の運用では、為替差益についても一般的なFXとは少し違った捉え方をします。
円安によって100円の含み益が出たとしても、
「100円儲かった」
とは考えません。
代わりに、
「将来100円の為替差損を吸収できる未確定のバッファができた」
と考えます。
例えば100通貨を保有していれば、ドル円が1円円高になると、おおむね100円の為替差損が発生します。
逆に現在100円程度の為替差益があるなら、それは約1円分の逆行を吸収するクッションとして見ることができます。
もちろん、含み益は為替が戻れば消えてしまいます。
したがって確定した安全余力ではありません。
それでも為替差益を「使える利益」と考えないことで、不必要な利確を避け、長期運用という本来の目的を維持しやすくなるのではないかと考えています。
ポイント5:買い建玉の追加は、余力を残したナンピンで行う
ここが、一般的な積立FXと私の運用方法が特に異なる部分です。
一般的な積立FXでは、一定額を一定期間ごとに購入するドル・コスト平均法を採用するサービスがあります。SBI FXトレードも、毎日・毎週・毎月の定期購入を用意し、一定額購入によって平均購入価格を平準化する方法を紹介しています。
(出典:SBI FXトレード「つみたて外貨」)
しかし私は、一定期間ごとに機械的にドルを買い続けるのではなく、追加できる資金余力をあらかじめ確保したうえで、円高になった局面を狙って追加する方法を試します。
私は株式投資でも、投資仮説が崩れていない銘柄について、価格が下落したときに少しずつ買い増す方法を利用しています。
そこでFXでも、その考え方を応用します。
ただし、
「下がったから取り返すために大量に買う」
というナンピンは行いません。
どれだけ円高が進んでも、一度に追加する数量をむやみに増やしたり、相場を後追いしたりはしない方針です。
まず元本や証拠金、実効レバレッジから、
「現在はこの数量まで追加可能」
という上限を決める。
そのうえで、いつ買ってもよい追加分について、なるべく円高のタイミングを選んで投入します。
言い換えれば、
「余力を先に決め、価格はあとから選ぶ」
という方法です。
機械的なドルコスト平均法よりも平均取得レートを改善できるのではないか、というのが今回の仮説です。
これが本当に有効なのかについても、今後実際の運用成績を記録しながら検証していきます。
1000円から実験を始める理由
そして今回、最初から大きなお金を投入するつもりはありません。
スタート資金は1000円です。
新しい投資方法について考えたからといって、いきなりまとまった資金を投入する必要はないと考えています。
まずは最小限の資金で、
スワップポイントが実際にどのように積み上がるのか。
為替変動によって証拠金がどの程度変化するのか。
低い実効レバレッジを維持した場合、どの程度の円高に耐えられるのか。
そして、スワップと追加投資によって建玉を徐々に増やすことが可能なのか。
こうした点を実際の取引で確認していきます。
当面は建玉を積極的に増やすのではなく、証拠金5000円を一つの目標として運用基盤を厚くしていく予定です。
まとめ|FXを「短期投機」ではなく「中長期の金利差運用」に使えるか
今回始めたドル円スワップ長期投資は、まったく新しい金融原理を利用したものではありません。
低金利通貨と高金利通貨の金利差から収益を得ようとする考え方自体は以前から存在しますし、スワップポイントを利用した中長期FXもすでに行われています。
今回私が試したいのは、そこに自分なりの投資ルールを組み合わせることです。
ドル円を使う。
短期売買をしない。
為替差益を利益として追わない。
レバレッジは資本効率の調整に利用する。
十分な証拠金余力を確保する。
追加建玉は余力の範囲内で円高局面を選ぶ。
そしてスワップを長期間積み上げる。
これによって、FXを短期的な値幅取りの商品ではなく、為替リスクを引き受けながら資本効率を高める中長期の金利差運用として利用できるのではないか。
これが、今回検証していく仮説です。
もちろん為替は将来どう動くか分かりません。
日米の金利差が縮小すればスワップポイントも減る可能性がありますし、大幅な円高が起こればスワップ以上の為替差損を抱えることもあります。
そのため、この方法が本当に有効なのかについて結論を出すには、数か月ではなく年単位の検証が必要だと思っています。
まずは1000円から。
数年後、この小さな一手がどのような結果につながっているのか。
実際の運用成績とともに、今後も記録していきたいと思います。
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